「精神的苦痛」を受けた場合に請求できる損害賠償金「慰謝料」

慰謝料とは？

慰謝料とは、相手の行いによって「精神的苦痛」を受けた場合に請求できる損害賠償金です。パートナーの浮気（不倫）やハラスメント、暴力などがあり、相手の行為が違法であると認められた場合に請求でき、「精神的苦痛をなぐさめるための損害賠償」という見方ができます。

ただし、違法と認められた場合ですから、精神的に苦痛を感じていても違法ではないとされるときは慰謝料を請求することはできないため、例えば双方に責任のない「性格の不一致」などによる損害賠償は認められません。

慰謝料について勘違いが多いのは、離婚の際に夫婦のどちらかが必ず請求できるというものではありません。
例えば専業主婦（主夫）の方や、配偶者より著しく収入が低い方であれば、離婚慰謝料をもらえるものと思いこまれている方もいらっしゃいます。
離婚理由に多い、「性格の不一致」「価値観の違い」はどちらにも責任がありませんので、慰謝料の請求はできません。

「精神的苦痛」の内容

精神的苦痛には
「浮気や暴力などの離婚に至る原因となった行為から受ける精神的苦痛」
「離婚することで失うもの・ことから受ける精神的苦痛」

慰謝料の認否

慰謝料が認められる事案

・浮気、不倫
・心身への暴力、虐待、遺棄
・執拗なハラスメント
・配偶者としての義務を果たさない（生活費を渡さない、自宅に帰らない等）
・一般的な性的交渉の拒否

浮気や不倫の場合、その行為より前に、どちらの責任でもなく夫婦関係が破綻していたと判断される場合は、基本的には慰謝料は請求できません。
浮気（不倫）相手が婚姻している事実を知らなかった場合には、浮気相手に慰謝料を請求することができないケースがあり、この場合は配偶者に請求することになります。

慰謝料が認められない事案

・配偶者に離婚の原因がない
・離婚原因の責任が双方同じくらい
・性格の不一致、価値観の違いなどのうち、双方どちらにも責任がない

慰謝料の基準

算定基準となる要素

精神的な苦痛は見えるものではなく、その被害額を算出するのは難しいいため、これまでの判例を元に一般的な（常識的な）範囲で算定されます。

・離婚の原因となる違法行為に対する責任の度合いや違法行為の期間、頻度など
・精神的苦痛の度合い
・請求される側（違法行為をした側・支払者）の社会的地位や支払い能力の程度
・請求者側の経済的自立能力の程度
・請求者側の責任の有無、程度、過失
・結婚、同居生活の期間

具体的な金額

金額は慰謝料の基準を踏まえてさまざまな事例がありますが、一般的な家庭では350万円程度またはそれ以下が多数を占めます。
稀に1,000万円を超える慰謝料を請求できた事例もありますが、現実的な金額でないと認められないケースがあります。

精神的苦痛の判定

慰謝料がいくらになるのかは、第三者（裁判所や弁護士など）が双方の話を訊いて判断します。第三者がその苦痛を理解できるように、具体的な主張と立証をする必要があります。「どう辛かったか」を伝えるだけではなく、「何があったか」「何をされたか」「こういう証拠がある」ということが重要で、説得力のある情報を伝えなければなりません。

たとえば浮気の証拠や、精神的苦痛からうつ病などの疾患を患った場合は、医師の「診断書」などの証拠が効果的です。主観だけではなく、なるべく第三者からの証明がある方が望ましいと言えます。
どのような証拠を集めればよいのか分からない方や、裁判所にうまく事情を説明したり、理解してもらえる証拠の見せ方などは、個人では難しいことがあります。相手に否定されてしまえば慰謝料の請求自体が出来なくなる可能性がありますので、慰謝料請求や算定が決定する重要な場面では弁護士へご相談されることをおすすめしています。