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内縁(事実婚)破棄の慰謝料の請求
内縁(ないえん)関係とは
戸籍上、夫婦としての届け出はないけれど、婚姻と同等の生活を営み、周囲の人など、社会的にも夫婦として認められている男女の関係を内縁関係と言います。最近では事実婚とも呼ばれています。
婚姻関係にある夫婦との違いは、法律上には夫婦として認められていないことです。また、同棲との違いは、お互いに夫婦関係を成立させる同意が有り、夫婦としての共同生活をしている事実が有ることです。
内縁関係の義務
内縁の夫婦は法律上では夫婦として認められてはいませんが、婚姻に準じる関係と認められ、内縁関係の男女間でも夫婦と同じように、扶養、協力、同居、婚姻費用や生活費分担の義務があります。また、貞操義務も有るため他の異性と性的関係を持ってはいけません。
内縁関係の破棄(内縁解消)と慰謝料
内縁関係の場合は「内縁破棄」によって夫婦関係を解消することが出来ます。婚姻届を出していない関係のため、離婚届のようにお互いがサインをすることは無く、基本的にはどちらか一方の意思によって自由に内縁を破棄することができますが、内縁関係であっても、正当な理由なく一方的に関係を解消する場合は不法行為として損害賠償義務が生じ、慰謝料を請求することができます。
内縁解消の原因が夫婦の一方による浮気である(性的関係を持った)場合は、夫(妻)と浮気相手に慰謝料を請求することが出来ます。
ただし、内縁関係は市区町村に婚姻届を出していないため、夫婦としての生活を証明することが難しくなることがあります。内縁関係は証拠となるものが明確ではありませんので、内縁解消については当事者間の争いになることもあります。
内縁破棄の正当な理由
内縁関係の夫・妻が浮気をした、DVを受けた、生死が3年以上不明である、回復不能な精神病にかかってしまったなど、内縁関係を継続し難い重大な事由があるときには、内縁破棄の正当な理由とされます。
内縁破棄・慰謝料の相場
内縁破棄の慰謝料の相場は100万円~200万円程度です。
金額は内縁関係の期間、破棄の理由、精神的苦痛の程度、不貞行為の程度、子供の有無、年齢、社会的地位、支払う側の経済力、内縁破棄後の生活状況などが考慮されます。
夫婦の期間が長い、幼い子どもがいる、内縁解消の原因が一方的なもので悪質、慰謝料を払う側の収入が高い、慰謝料を受け取る側の収入が低いという場合などは、慰謝料が高額になる可能性が高くなります。
判例では長期間内縁関係にあった夫婦の一方が、一方的に関係を解消したことで400万円の慰謝料を命じられたこともあります。
さらに、相手の浮気が原因で内縁破棄になった場合は浮気相手にも慰謝料を請求することができます。
内縁破棄の慰謝料請求方法は婚姻関係がある場合と同じですが、慰謝料請求した相手から「自分は内縁関係にあったと思っていない」といわれることがあった場合は、内縁関係を証明する必要があります。
内縁関係の証明とは、ふたりの関係が単なる同棲ではなく夫婦として生活していた(内縁関係であった)ことの証明です。例えば、住民票の続柄に夫(未届)・妻(未届)と表記されていることがあります。他にもマンションの契約書に「配偶者」「内縁の妻」などと記載されている場合は、証明書類として提出することができます。
近所の人、両親、知人、友人の証言から内縁関係を証明することができる場合もあります。
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