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自己破産の否認権/破産管財人の権利
自己破産の否認権
自己破産の原則
自己破産の手続きを行うと、「破産手続開始決定時」に債務者(破産する人)が持っている財産は一部の財産を除いて破産管財人により換価処分(財産を金銭に換えること)が行われて債権者に配当されます。
このとき原則として、破産手続開始決定の時点で破産者のものでない財産は換価処分の対象となりません。
自己破産の否認権
破産管財人が「否認権」を行使することで、自己破産の破産手続開始決定前に処分した財産であっても、滞納しているお金として「換価処分」の対象とすることが出来ます。「否認権」は破産管財人の権利で、破産債権者に配当されるはずの財産と認められるものを「換価処分の対象」とできる権利です。債務者の手元には無い財産を破産管財人が取り戻すことが出来ます。
債務者が財産の換価処分を免れるために故意に財産を処分出来るとなった場合、債権者に一方的に不利益をもたらすことが可能となり、不公平な取引とならないように「否認権」を行使して、破産管財人による換価処分の対象となる財産として認めさせることが出来るようになっています。
「破産手続開始決定時」には既に手元に無い場合でも対象となり、債務者から見ると借金が増えることになります。
否認権の種類
破産管財人の否認権には「詐害行為否認」「無償行為否認」「偏頗行為否認」があります。
詐害行為否認(さがいこういひにん)
破産者の「破産債権者を害する行為」を否認する権利をいいます。換価処分を受けないよう財産を低価格で第三者に売却した場合。
「破産者が破産債権者を害することを知ってした行為」「破産者が支払の停止又は破産手続開始の申立てがあった後にした破産債権者を害する行為」「詐害的債務消滅行為」「相当の対価を得てした財産の処分行為」などに対する否認が該当します。
無償行為否認(むしょうこういひにん)
「破産者がした財産の無償行為」を否認する権利です。財産を無償であげた場合などがこれに当たります。
無償行為否認は財産を減少させるという詐害性もあるため詐害行為否認の一種とも言えます。
偏頗行為否認(へんぱこういひにん)
既存の債務についての担保供与または債務の消滅に関する行為(偏頗行為)を否認できます。両親や友人など優先的に借金の返済をしたときなどが偏頗行為否となります。
「破産者が支払不能になった後または破産手続開始の申立てがあった後にした偏頗行為」「破産者が支払不能になる前30日以内にした非義務的偏頗行為」などに該当します。
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