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解雇が可能な具体的なケース・適法な解雇「整理解雇」「懲戒解雇」「普通解雇」とは

解雇が可能な具体的なケース

従業員の能力不足とする場合は企業の努力も必要です

従業員が解雇されるとき、会社から言われることが多い解雇の理由のひとつが「従業員の能力不足」です。多くの会社の就業規則で、「業務遂行能力がないとき」は解雇することが記載されています。ですが、職種や職務内容を限定せず募集したり、新卒者として採用された未経験の社員については、業務成績が平均以下というような理由では解雇することはできません。
ここ数年間の評価が「標準より劣る」とされていても、それより前は標準の評価で仕事が遂行できており、その他の業務では問題なく遂行できる業務があった場合の事情を考慮して、解雇を無効とした判例もあります。

また、入社後他の従業員と同じように順次配置転換され、いずれの部署でも業務への理解力が劣り、上司の指示を無視して思いつきで取引先と折衝したり、支離滅裂な言動により実質的な業務から外さざるを得なくなり、3ヶ月間の法務実務の研修の機会を与えたが、その結果も不良であった事案では、解雇が有効と判断されました。

「従業員の能力不足」とは、企業経営に支障が出る重大な能力不足であって、配置転換や降格、丁寧な研修や教育訓練などを行っても解決できなかったという事情がなければ、解雇は違法となる可能性があります。

多重債務や自己破産は原則できません

多重債務や自己破産をした人を解雇することは、原則としてできません。
職場に支払督促の電話がかかってくることがあっても、法的に債務整理をすれば解決することですので、そう行ったことを理由に解雇することはできません。

ただし、法律上、破産宣告を受けると資格を喪失する仕事があります。
証券会社の証券外務員、保険の外務員、旅行業者、有価証券投資顧問業者、警備員などは、自己破産した人が適法に解雇される可能性があります。
自己破産ではなく任意整理や個人再生であれば、法律上資格を喪失することはありませんので、解雇は違法となります。

遅刻・欠勤を理由とする解雇は日常の態度に影響する可能性が大きいです

遅刻・欠勤は日常の勤務状況や環境、事案によって結論はさまざまです。毎日誠実に仕事をしている人の場合は、2、3回遅刻してしまったという理由での解雇は難しいですが、毎週1~2回の遅刻が長期にわたり続き、上司に注意されても反省していないようであれば適法な解雇と判断される可能性が高くなります。

ケガや病気の場合の解雇

ケガや病気による解雇の有効性は、従業員の立場によって判断されることがあります。
例えば総合職として採用されている社員の場合、従業員が私用でケガ・病気を負って現在の業務ができなくなったとしても、配置転換や異動によって他の業務ができるのであれば解雇することはできません。また、業務中にケガをした従業員が療養中の場合も、基本的には解雇できません。

横領、暴力、暴言などの違法行為・不正行為や反抗的態度

従業員が横領したり暴力などを行った場合は、会社は適法に従業員を解雇することができると考えられます。これらは一般的には懲戒解雇となります。

契約社員の契約途中での解雇

契約社員が契約期間の途中で解雇された場合は通常の解雇と同じです。
契約期間を満了した際には解雇ではなく契約しないということになりますが、これまでの事例などにより実質の解雇と判断されることもあり得ます。契約時の説明がどうであったか、契約が何回更新されてきたか、その職場での前例はどうか、契約が更新されることへの期待が合理的であったかなどによって判断されます。

外資系・特にコンサルティング業を行う会社の場合

映画などでは外資系の企業で、上司が部下に簡単に解雇を言い渡す場面もあります。高給で転職も多いことが前提の外資系の会社であっても、労働者が賃金により生計を立てている以上、解雇には客観的にも合理的な理由が必要です。

適法な解雇とは?3つの解雇理由

労働契約法16条(旧労働基準法18条の2)
「解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする。」

整理解雇

会社の業績がよくないために経費削減のために人員カット(リストラ)をすることを整理解雇といいます。
整理解雇が許される判例
・人員削減の必要性があること
・会社が解雇を回避するための努力をしたこと
・人選が合理的であること(恣意的でないこと)
・手続が相当であること
   (労働組合との協議、説明義務があるときは実施すること)

懲戒解雇

会社の秩序を著しく乱す言動があった場合、労働者への制裁としておこなわれる解雇を懲戒解雇といいます。懲戒解雇は、まず、使用者が就業規則で懲戒の種別(解雇、停職、減給、戒告等)と理由を定めて労働者に事前に知らせておく必要があります。そして、解雇理由とされた具体的な事実が本当にあったのか、事実が就業規則で定めた懲戒理由にあたるのか、解雇に相当するほど重大であったかなどが判断基準となります。

普通解雇

「整理解雇」「懲戒解雇」以外の解雇一般を普通解雇といい、就業規則に定められた解雇理由(遅刻欠勤等の勤務態度、勤務成績、職業上の適性・能力、違反行為など)に該当するか、解雇が相当なほど重大なものか、これまでの会社での前例、他の従業員との比較などが判断基準となります。

「整理解雇」「懲戒解雇」「普通解雇」についてはこちらもご覧ください
» これは不当解雇?会社が解雇できる理由とできない理由

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