窃盗罪

窃盗罪の法定刑：
10年以下の懲役又は50万円以下の罰金（刑法第235条）
　　→ 窃盗罪は未遂も罰せられます（刑法第243条）

窃盗罪の概説

窃盗罪は、他人の財物を断りなく持ち出したり、使用したりする犯罪です。
万引き、置き引き、スリ、空き巣、車上荒らし、下着泥棒、ひったくり等が窃盗罪に該当します。窃盗罪における「他人の財物」には電気なども含まれますので、他人の家の電気を勝手に使った場合には電気窃盗として窃盗罪が適用されます。

注意する点は、他人が持っている自分の財物も含まれるところです。他人に貸した物が返ってこないからといって、他人の家から勝手に貸した物を持ち出すと窃盗罪となります。

よく見られるのは、窃盗事件を起こした場合、他の罪も追加されることがあります。例えば空き巣などで窃盗を行なった場合は他人の家や建物に侵入するため、住居侵入罪または建造物侵入罪も適用されます。住居侵入窃盗は単純窃盗に比べて悪質とされているため、量刑が重くなります。

さらに、窃盗事件を起こした場合は強盗罪等のより法定刑の重い犯罪になることがあります。例えば、窃盗の際に、被害者や警備員などの目撃者に暴行したり脅迫を加えた場合など、強盗事件として扱われる可能性が高くなります。それにより被害者や目撃者が死傷した場合、強盗致傷事件または強盗致死事件として扱われる可能性があります。

窃盗事件の弁護士の対応

不起訴処分または無罪判決になるよう主張

身に覚えがないのに窃盗罪の容疑をかけられた場合は、弁護士を通じて警察や検察などの捜査機関及び裁判所に対し、不起訴処分又は無罪判決になるよう主張します。

アリバイや真犯人の存在を示す客観的な証拠を提出したり、窃盗罪を立証する十分な証拠がないことを指摘します。

見ていただけであったり、買うつもりで所持し盗む意図がなかったことなど、店舗や住居の構造と防犯カメラの映像、その他客観的な証拠から主張し、持っていたものが盗品でないことを客観的証拠に基づいて主張していくことが考えられます。すでに購入しているものであればレシートなども証拠の一つとなり得ます。

窃盗被害者への被害弁償・示談交渉が急務

窃盗罪を犯していた場合は、弁護士を通して窃盗被害者への被害弁償及び示談交渉を行うことが急務です。
窃盗罪の被害届が提出されるより前に、窃盗被害者に対して被害を弁償して示談を成立させれば、警察未介入となり、前科をつけずに事件を解決できる可能性があります。
既に窃盗事件として警察が介入している場合は、被害者との間で被害弁償や示談を成立させることで、逮捕・勾留による身柄拘束を回避し、早期に職場復帰や社会復帰が出来る可能性を高めます。

窃盗事件では、被害金額が大きくなく同種の前科がなければ、示談の成立により起訴猶予による不起訴処分を獲得することも可能です。起訴猶予による不起訴処分になれば前科はつきません。

執行猶予付きの判決を獲得する

窃盗罪で裁判になった場合は、被害弁償および示談を成立させることで執行猶予付き判決の可能性を高めることが出来ます。窃盗罪では、犯行動機や犯行手口、被害額、同種前科の有無などを考慮して、裁判所に対し適切な主張と立証を行い、裁判で執行猶予付きの判決を獲得するための弁護活動を行います。